デブのジレンマ
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身幅をジャストサイズにすると袖周りがブカブカになり、袖周りに合わせると胸と腹がピチピチになる。これを〈デブのジレンマ〉と名付けることとする。
— ブタメガネ (@Pig_MEGAne) 2014, 6月 21
デブをだらしないと思ってはいないだろうか。
もしそう思っているならば今一度考えて欲しい。
いつから、どうして、私はデブをだらしないと思うようになったのだろう、と。
俺はその一因がこの<デブのジレンマ>にあると考えている。
サイズの合わない洋服を身につけている人はだらしなく見えるものである。それは自分に適したサイズを選定する手間を省いたことが怠惰に映るからだろう。
しかし考えて欲しい。デブはサイズ選定を怠った訳ではない。
デブは、一箇所のサイズを合わせれば他箇所のサイズが犠牲になる*1悲しい生き物である。少ない選択肢の中で決断を迫られた時。何を選び何を捨てるのか。ジャストなサイズ感の洋服を着られるのならばデブだってそれを身に付けたいのだ。精査の結果として微妙なアンバランスさを受け入れざるを得ないデブを、だらしないと切り捨てられる者が果たしてこの世にいるのだろうか。
デブは言った。
あなたたちの中で既製品を身に付けたことのない者だけがデブに石を投げなさい。
耳を貸すものはなかった。
降り注ぐ石がデブの骨肉を砕く。
デブは、常に多くの選択をし、多くを捨てている。
見た目で受ける印象ほどデブの日常はのんびりとはしていないのだ。