ブタメガネ「それでも今日を生きている」

太っている男のブログ。デブ嫌いはそっ閉じ願います。

鬼無しかくれんぼと正しい夕方の優しさ

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先日の夕刻。
住宅街で就学前の男児を連れた若い夫婦を見た。買い物の帰りなのだろう。お父さんの手にはスーパーの袋が提げられていた。何気ない日常の風景そのままなんだけれど、この家族がとても微笑ましかった。

三人で仲良く歩いているのだが、遊びたい盛りの男の子は、少し進む毎に電柱や車の陰にひょいっと身を隠す。そしてニヤニヤしながら両親の様子を伺う。すると、両親も手近な場所に身を隠す(ふりをする)。そして息子が隠れるのを止めるまで家族全員が無言で身を潜める。
息子は幼い子供特有のしつこさで何度も何度も隠れる。その度に両親も隠れる。手近な場所がなかったお母さんはブロック塀に向かって立ち、息を潜める。

その様子を見ながら僕はこのゲームのルールについて考えた。
誰かが探す側にならなければ成立しないのではないか。
しかし僕の心配をよそに家族の鬼無しかくれんぼは続いていた。

こんなことしているから、家族は一向に進まない。
僕が家族の存在を認識してからすれ違うまでの数分の間、彼等はほとんど移動出来ていなかった。

結局、僕がルールを理解することはなかった。
しかし「良いなぁ」と思った。ただただ、そう思った。
僕には妻も子供もいないけれど。
あの感じ。あの温かい空気。正しい夕方。そう思えるあの空気感。
彼女と僕の間にも、あの優しい空気感が流れないかなぁ。

そう思った僕は彼女との待ち合わせ場所に急いだ。
彼女を見つけ、電柱に身を隠し、チラチラ様子を伺った。
すぐに僕の存在に気がついた彼女がつかつか歩み寄って来て言ったのが冒頭。